2007年2月28日水曜日

職人さん (本寄せ木)

古い話で申し訳ない。写真は20年前に展開したアパレルメーカーの店舗の写真です。床にご注目下さい。本寄せ木です。亀甲模様や色々な伝統的なパターンがありました。厚み8mmの違う色の木を組み合わせてパターンを考えるのは最高に楽しい仕事でした。しかし残念ながらこの技術を受け継ぐ木工所はどこにもありません。都内で唯一市ヶ谷にあった木工所から廃業の知らせがあったのが15年以上も前でした。本寄せ木以外にも左官や経師や数々の伝統的な技術が後継者の無いまま無くなっていきます。工事現場で3Kに塗れて働く職人達さんを見ていて思う事は『日本はもっと職人の社会的地位を向上させ職人さんがプライドを持って生きて行ける社会であって欲しい』と、そう願わずにいられません。どの職種が欠けても現場は成り立たない。デザイナーも職人さんもみんなが同じ目の高さで向かい合い、それぞれの経験を活かしあって目的を完成さる。そんなチームワークを目指しています。

右の写真は明治時代の職人さんが作った寄せ木のサンプルです。
今日でも木と木の隙間はまったく見られません。
時代が大正・昭和と進むほど職人さんの技術が下がっているように思うと、当時木工所の社長さんはおっしゃっていました。
今は平成。これを作れる職人さんはいなくなってしまいました。

3 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

日本人が誇れる技術を目の当たりに出来た経験がホントに羨ましいです。肌が泡立つ感じが想像つきます。
僕は堂々と島国根性剥き出しの日本人なので、経済に翻弄されるアメリカンなビジネススタイルとは、決別出来ればと心の底から思います(心意気では)。
薄利多売ではなく、伝統のクオリティーこそが、日本人の専売特許であればと…。
DNAは拒めない。日本にはそんな素敵な美的センスの血が流れていると信じたいです。春夏秋冬朝昼晩、長い年月を経ても決して負けない、デザイン&技術に脱帽です。

勝野 明正 さんのコメント...

始めての書き込みありがとうございます。
感激です。
今日の便利さに、失って行くものの大きさに気がつかなければいけないと心がけています。
本寄せ木に思う気持ちは個人ではどうしようもできない、いきどうりです。
ブログで声をはり上げるくらいが、せめてなんですがその声に答えてくれたkanさんに厚く御礼申し上げます。
小さな声が集まって大きな声になる事を祈りたいと思います。

nagooh さんのコメント...

私は以前床工事に携わっていた者ですが、寄木の技術を何とか残したいと思っております。
しかし、寄木の職人さんも今ではわずかに残るだけ、寄木用の材料も用意するのが至難になってきました。
技術の伝承と材料の確保、この2点が寄木の衰退につながっているのでしょう。
何とかできないかと仲間とも相談しております。